「血を拭く」「ガーゼを替える」はNG?いざという時に命を守る「正しい止血方法」8つのステップ【救急現場のプロが解説】

目の前で家族や友人が大ケガをして、血が止まらなかったら。
あなたは冷静に、正しい処置ができますか?

「とりあえず血を拭き取ろう」
「傷口を洗って消毒しなきゃ」
「血で濡れたガーゼを取り替えよう」

実はこれらの行動は、出血を悪化させたり、止まりかけた血を再び吹き出させたりする危険な間違いであることがあります。

特に大災害が発生した直後など、すぐに救急車が来られない状況では、その場にいる人の適切な「止血」が、傷病者の命を左右します。

今回は、いざという時にパニックにならず、大切な命を守るために知っておきたい「正しい止血方法」の基本手順を解説します。

■ 基本にして最強の止血法「直接圧迫止血法」

ほとんどの出血は、この「直接圧迫止血法」で止めることができます。特別な道具は必要ありません。まずはこの方法を徹底してください。

  1. 感染防御(重要!)
    他人の血液に素手で触れることは、感染症のリスクを伴います。可能な限り、使い捨て手袋、ビニール袋、ラップなどを手に装着し、直接血液に触れないようにしてください。
  2. 清潔なガーゼや布をあてる
    傷口を覆うように、清潔なガーゼ、タオル、ハンカチなどを厚めにあてます。
  3. 出血部位を強く圧迫する
    あてた布の上から、手のひら全体を使って、傷口を「強く・絶え間なく」圧迫し続けます。出血が激しい場合は、両手で体重をかけるようにして強く押さえてください。
  4. 出血部位を心臓より高くする
    可能であれば、傷ついた腕や足を心臓の位置より高く上げることで、出血量を減らす効果が期待できます。(※骨折の疑いがある場合は無理に動かさないでください)

■ 絶対にやってはいけない「NG行動」

止血の最中にやりがちな、危険な行動があります。

  • × 血で濡れたガーゼを取り替える
    圧迫しているガーゼが血で染まってきても、決して取り替えてはいけません。傷口で固まりかけた血液(かさぶたのもと)が剥がれてしまい、再出血の原因になります。血液が滲み出てくる場合は、その上から新しいガーゼやタオルを重ねて、さらに強く圧迫し続けてください。
  • × 傷口を洗う・消毒する(大量出血時)
    大量に出血している緊急時は、洗浄や消毒よりも「止血」が最優先です。まずは圧迫して血を止めることに集中してください。

■ どうしても血が止まらない時の「最終手段」

止血帯法(ターニケット)

手足の切断など、直接圧迫止血法ではどうしても血が止まらない生命に関わる大量出血の場合にのみ行われる、最終的な手段です。

  • 方法:傷口よりも心臓に近い位置(二の腕や太もも)を、幅の広い布(三角巾、タオル、ベルトなど)で強く縛り上げ、血流を遮断します。
  • 注意点
    • 針金や細い紐は神経や組織を傷つけるため使用しないでください。幅3cm以上のものを使います。
    • 一度縛ったら、医師に引き継ぐまで安易に緩めないでください。(※長時間の血流遮断は組織壊死のリスクがあるため、専門的な判断が必要です。止血を開始した時刻を記録し、救急隊に伝えてください)

■ 止血と合わせて行うべきケア

出血している人を助ける際は、止血だけでなく以下のケアも同時に行ってください。

  • 安静を保つ:動くと血圧が上がり、出血が止まりにくくなります。傷病者を横に寝かせ、安静を保ってください。
  • 保温する:大量出血やショック状態になると体温が低下しやすくなります。毛布や上着などを掛けて保温に努めてください。
  • 119番通報:大量出血の場合は、一刻も早く救急車を呼んでください。

■ まとめ

いざという時、最も大切なのは「慌てず、強く圧迫し続けること」です。
特別な知識がなくても、この基本を知っているだけで救える命があります。

ぜひ一度、ご家族や身近な人と、タオルなどを使って圧迫止血の練習をしてみてください。


■ 参考文献

株式会社NEWRECT

「興味→予防→救命」のLife Flowを柱に、“もしも”の後悔をなくし、突然死を減らす活動をしています。

救命

防災

予防

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