「食べ過ぎかな?」みぞおちの痛みを放置しないで。胃腸炎と思ったら心筋梗塞だった…命を守る「危険な胃痛」の見分け方

「なんだか胃が痛いな…食べ過ぎたかな?」
そう思って、市販の胃薬を飲んで様子を見ていませんか?

ちょっと待ってください。その「みぞおちの痛み」、実は胃ではなく「心臓」からのSOSかもしれません。

救急医療の現場では、「激しい胃痛と吐き気」を訴えて搬送された患者さんが、実は「急性心筋梗塞」だった、というケースは決して珍しくありません。
特に、女性やご高齢の方、糖尿病をお持ちの方は、典型的な「胸の激痛」が現れにくく、胃痛や吐き気といった消化器症状として現れる傾向が強いため、注意が必要です。

「ただの胃腸炎だろう」という油断が、命取りになることもあります。
救命士の視点から、絶対に見逃してはいけない「危険な胃痛」の見分け方をお伝えします。

ただの胃痛じゃない!心筋梗塞を疑う6つのサイン

普通の胃痛や胃腸炎と、命に関わる心臓の病気をどう見分ければよいのでしょうか。以下の症状が一つでも当てはまる場合は、心筋梗塞の可能性を疑い、ただちに行動を起こしてください。

①「冷や汗」を伴っているか

痛みに加えて、じっとりとした嫌な汗(冷や汗)が出ていませんか?
胃痛だけでなく、冷や汗が出る、顔面が蒼白になる、息苦しい、意識が遠のくといった症状は、体がショック状態に陥りかけている危険なサインです。迷わず119番通報してください。

②痛みの性質が「重苦しい・圧迫感」である

胃潰瘍や胃炎のような「キリキリ」「チクチク」した痛みではなく、みぞおちのあたりが「重苦しい」「締め付けられるような」「焼けつくような」圧迫感を伴う場合は、心臓の虚血(血流不足)を強く疑います。

③痛みが他の場所に飛ぶ「関連痛(放散痛)」がある

痛むのはみぞおちだけですか?
心臓の痛みは、神経のつながりによって、離れた場所に飛び火することがあります。これを「関連痛(放散痛)」と呼びます。
みぞおちだけでなく、左肩、背中、首、顎、歯、左腕などにも違和感や痛みが広がっている場合は、心筋梗塞の可能性が非常に濃厚です。

④「息苦しさ」がある

単なる胃痛よりも、呼吸が浅くなる、息苦しい、会話をするのがつらいといった呼吸器症状を伴う場合は、心不全や肺への影響が疑われる緊急事態です。

⑤吐いても楽にならない、体勢を変えても変わらない

一般的な胃腸炎や食中毒であれば、嘔吐した後や、体を丸めるなど楽な姿勢をとることで、痛みが多少和らぐことがあります。
しかし、心臓が原因の痛みは、吐いても楽にならず、どのような体勢をとっても痛みが変化しにくい(持続する)傾向があります。

⑥「危険な背景」を持っている

以下のリスクファクター(危険因子)に当てはまる数が多いほど、心筋梗塞のリスクは高まります。

  • 40歳以上である
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロールなど)の持病がある
  • 喫煙習慣がある
  • 狭心症や心筋梗塞の既往歴、または家族歴がある

そして何より、「今までに経験したことがない強さや種類の痛み・違和感」を感じた場合は、自分の直感を信じて救急受診を検討してください。

まとめ:迷ったら「救急」の選択を

心筋梗塞は一刻を争う病気です。
胃痛だと思っても、同時に「冷や汗」「息苦しさ」「背中や肩への広がる痛み」を感じたり、意識が遠のくような感覚があったりする場合は、胃腸炎と決めつけずに緊急対応を優先してください。

夜間や休日で判断に迷う場合は、救急安心センター事業(#7119)へ電話相談を。
明らかに様子がおかしい、危険だと感じたら、迷わず救急車(119番)を呼んでください。

その「ためらいのない行動」が、あなたや大切な人の命を救います。


■参考文献・参考サイト

株式会社NEWRECT

「興味→予防→救命」のLife Flowを柱に、“もしも”の後悔をなくし、突然死を減らす活動をしています。

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