「熱が出て、ガタガタと震えが止まらない」
「毛布にくるまっても、歯がカチカチ鳴るほど寒い」
激しい寒気(悪寒)を感じた時、多くの人は「ひどい風邪かな」「インフルエンザかな」と考え、温かくして寝て治そうとするかもしれません。
しかし、その判断が命取りになることがあります。
その「止まらない震え」は、体が細菌などの強力な外敵と戦い、炎症が全身で爆発しているサインかもしれません。
そして、震えが止まる頃には急激に血圧が低下し、命を落としてしまう危険があるのです。
今回は、救命の現場でも一刻を争う緊急疾患「敗血症(はいけつしょう)」について、絶対に見逃してはいけない危険な兆候をお伝えします。
数時間で急変する「敗血症(はいけつしょう)」とは
敗血症とは、肺炎や尿路感染症など、体の一部で起きた感染症がきっかけとなり、細菌やその毒素が血液中に入り込むなどして、全身で制御不能な炎症反応が起こる状態です。
これはまさに、体が「緊急事態」に陥っている状態。
ただの風邪だと思って家で寝ている間に急激に悪化し、数時間単位で心臓、腎臓、肺などの重要臓器が機能不全に陥り、死に至ることがあります。
最も恐ろしいのは、初期症状が「風邪との見分けがつきにくいこと」です。
しかし、体は必死にSOSのサインを出しています。
絶対に家で様子を見てはいけない「4つの危険サイン」
救命士としてお伝えしたい、絶対に家で様子を見てはいけない「敗血症」を疑う4つのサインをまとめました。
これらに当てはまる場合、夜間・休日であっても迷わず救急車(119番)を呼んでください。
1. 震えが「異常」に激しい(悪寒戦慄)
単に「寒い」というレベルではありません。ガチガチと歯が鳴り、自分で止めようとしても体が勝手に跳ねてベッドが揺れるほどの激しい震え(悪寒戦慄:おかんせんりつ)が特徴です。
これは、細菌と戦うために脳が筋肉を無理やり動かし、急激に体温を上げようとしている証拠です。
2. 熱があるのに「手足が冷たい」
体の中心は高熱で熱いのに、手先や足先が氷のように冷たく、青白くなっている場合は非常に危険です。
これは、血圧が低下し始める中で、心臓や脳などの最も重要な臓器を守るために、手足への血流を犠牲にしている(ショック状態になりかけている)サインです。
3. 呼吸が「ハアハア」と荒い
全力疾走した後ように、肩で息をするほど呼吸が早くなります(目安として1分間に22回以上)。
体の炎症によって血液が酸性に傾くのを防ぐため、必死に二酸化炭素を吐き出そうとしている状態です。
4. 「会話」が成立しない(意識障害)
ぼーっとしている、呼びかけへの反応が鈍い、つじつまが合わないことを言うなど、意識におかしな点が見られます。
これは脳に十分な血液や酸素が回っていない証拠です。特に高齢者の場合、熱が出ずに「意識がなんとなくおかしい」という症状だけのこともあるため注意が必要です。
生存のための鉄則:「朝まで待つ」は命取り
「激しい震え」+「冷や汗・手足の冷え・意識の異変」
このセットが現れたら、もう家でできることはありません。
- × 布団で温めて様子を見る
- × 解熱剤を飲んで朝まで待つ
これらは命取りになります。
敗血症は、適切な治療(抗菌薬の投与や輸液など)が1時間遅れるごとに、生存率がガクンと下がると言われています。
一刻も早く医療機関へ行き、「敗血症ではないか心配です」と伝えてください。
その判断が、命を救います。
■参考文献・関連リンク
- 日本集中治療医学会・日本救急医学会監修:日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)
- 国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター:敗血症とは
- Sepsis Alliance:Sepsis Symptoms(英語)