「風邪かな?」喉が激痛で唾も飲み込めない。「鏡で見ても赤くない」は数時間後に窒息する危険信号。「急性喉頭蓋炎」5つのサイン

「風邪をひいたみたいで、喉がとにかく痛い」
「唾を飲み込むのも激痛で、食事どころじゃない」

そんな辛い症状で鏡を使って喉の奥を見てみても、「あれ? あまり赤くないな…」と思ったことはありませんか?

「見た目はひどくないから、市販の風邪薬を飲んで寝ていれば治るだろう」

そう思って無理に寝ようとするのは、実は「自滅行為」になりかねません。

その症状は、数時間後に喉の奥がパンパンに腫れ上がり、空気の通り道を完全に塞いで窒息してしまう、命に関わる緊急疾患のサインかもしれないのです。

今回は、絶対に「ただの風邪」で済ませてはいけない危険な病気、「急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)」について、救命の現場視点からお伝えします。

数時間で窒息に至る「急性喉頭蓋炎」とは

喉の奥、舌の付け根のさらに奥には、食べ物が気管に入らないようにフタをする「喉頭蓋(こうとうがい)」という組織があります。
この喉頭蓋が細菌感染などによって急激に腫れ上がってしまう病気が「急性喉頭蓋炎」です。

通常の風邪による喉の炎症とは異なり、腫れ上がったフタが物理的に空気の通り道(気道)を塞いでしまうため、適切な処置が遅れると窒息死に至る危険性が非常に高い緊急疾患です。

最も恐ろしい「進行の速さ」と「見た目のギャップ」

この病気の最も恐ろしい点は、その進行スピードです。
「朝は喉が痛い程度だったのに、夕方には息ができなくなり、病院へ向かう救急車の中で窒息しかけた」というケースも珍しくありません。

また、喉頭蓋は口を開けて鏡で見える場所よりもさらに奥にあるため、「喉の激痛があるのに、鏡で見ても喉の奥は赤くない」ことが多くあります。
この「見た目とのギャップ」が油断を生み、発見が遅れる最大の原因となります。

手遅れになる前に!窒息を防ぐ「5つの危険サイン」

「ただの喉風邪」と「命に関わる喉頭蓋炎」を見分けるポイントはどこにあるのでしょうか。
以下の5つの症状に当てはまる場合は、夜間・休日を問わず、迷わず救急車(119番)を呼んでください。

1. 「唾」が飲み込めない(流涎:りゅうぜん)

唾液をゴクリと飲み込むだけで激痛が走る、あるいは痛みのあまり飲み込むことができず、口からダラダラと垂れ流してしまう状態です。これは喉の腫れが限界に近く、食道の入り口すら塞がれかけている危険なサインです。

2. 声が「こもる」(含み声)

まるで熱々のフライドポテトやアメ玉を口の中に含みながら喋っているような、くぐもった声(英語では “Hot potato voice” と呼ばれます)になります。
これは声帯のすぐ近くにある喉頭蓋が腫れて、声の響きが変わってしまっている証拠です。

3. 苦しくて「横」になれない(起座呼吸)

仰向けに寝転がると、重力で腫れた喉頭蓋が気道に落ち込み、息ができなくなります。
「苦しくて横になれない」「座って少し前かがみになり、顎(あご)を突き出すような姿勢」をとらないと呼吸ができない場合、窒息寸前の超危険な状態です。

4. 見た目と痛みの「ギャップ」がある

前述の通り、「のたうち回るほどの激痛」があるにもかかわらず、鏡で口の中を見ても扁桃腺(へんとうせん)などがそれほど赤く腫れていないように見える場合、見えない奥底で爆発的な腫れが起きている可能性を強く疑います。

5. 呼吸音が「ヒューヒュー」する(喘鳴:ぜんめい)

息を吸い込む時に、喉の奥から「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がするのは、空気の通り道が針の穴ほどしか残っていない証拠です。一刻を争います。

絶対にやってはいけないNG行動

この病気が疑われる時、良かれと思ってした行動が命取りになることがあります。

  • × 無理に口の中を見ようとする
    (スプーンや舌圧子で舌の奥を強く押さえると、反射で喉が痙攣し、完全に窒息してしまうことがあります)
  • × 我慢して横になって寝る
    (気道が閉塞し、そのまま呼吸が止まってしまう危険があります)
  • × 水や薬を無理に飲ませる
    (飲み込めずに誤嚥ごえんし、さらに呼吸状態が悪化する恐れがあります)

まとめ:ためらわずに「119番」を

喉の痛みはありふれた症状ですが、「唾が飲み込めないほどの痛み」と「息苦しさ」が揃った場合は、ただの風邪ではありません。

「救急車を呼ぶのは大げさかな?」とためらっている間に、取り返しのつかないことになりかねません。
ご自身やご家族に上記の「危険サイン」が見られた場合は、直ちに医療機関を受診するか、救急要請を行ってください。
その迅速な判断が、命を救います。


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株式会社NEWRECT

「興味→予防→救命」のLife Flowを柱に、“もしも”の後悔をなくし、突然死を減らす活動をしています。

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